スリッパおじさん
それはちょうどスーパー林道の中間地点あたりにある山の家でのこと。
5分ほど休憩してから、「さあ、あと半分がんばろかー!」と出発しようとベンチから立ち上がったとき。 トラックが一台やってきてなかからおじさんがでてきました。そのおじさんはこちらに、いや私のほうにむかってなにやら叫びながら近づいてきます。 それが高知弁だったせいなのかなんなのかわかりませんが、私はそのおじさんがなんて言ってるのかまったく理解できず、「えっ?」「えっ?」と5回くらいくりかえし聞きなおします。 どうやら「スリッパ!スリッパ!」と言ってるようです。 おかしな人だなぁ。初対面の人間に「スリッパ、スリッパ」って近寄ってくるなんて。 「えっ?」「えっ?」と聞き返して相手するのにもあきてきたのでそろそろ無視しようかと思ったとき、「スリッパ途中で拾ってきたんやけど、落としてない?」とそのおじさんはいいました。
はっ!そういえばっ私のサンダルはっ!? 私はキャリアをケチって買わなかったので、荷物をできるだけコンパクトにしようとちっちゃなバッグにギューギュー押し込んできたのでサンダルが中にはいらず、バッグの上にのっけてネットをかけていたのでした。しかもネットがぶかぶかで中の荷物が抜け落ちていても不思議ではない。ましてやこんなガタガタ林道を走ってきたのですから。
セロオのおしりをみてみたらやっぱり無い。 ごめんねぇ、おじちゃん。すっかり怪しい人扱いしちゃったわ。ホントはとってもいい人だったのにね。 でも一言。あれはスリッパじゃなくってサンダルですよ。 そんなわけで私のサンダルはスーパー林道におきざりにされることなく無事回収され、私もその後、ブーツしか履物がなく常にブーツで歩きまわらなくてはならない、といった状況を回避することができたのでした。
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